Extra 1 キューブマップで視点をうりうり動かす

3Dレイヤーの使い方の特殊な例です。

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■ 1.1 キューブマップ



■キューブマップは、ドーム映像などの、超広角映像を作成する時のフォーマットの一つです。

原点を中心をもつ仮想の立方体の各面に画像を定義したもので、90度の視野角を持った6枚の正方形の画像(映像)からなります。
例えば3D空間に作った街の中の交差点からみた風景のキューブマップをつなげてみると、このようなものになります。


■ アフターエフェクトでは、3Dレイヤーの機能を使ってレイヤーを立体的に配置することができるます。
6枚の画像をキューブ状に配置して中心にカメラを置けば、3Dソフト上でカメラから見える情報がすべて得られることになります。
分かりやすいように、間に隙間を入れてキューブ状にレイヤーを配置してみましょう。

:左下から :原点から

■このように構築されたキューブの中心にカメラを置けば、歪みの無い画像が再構築されているのが分かります。
アフターエフェクト上でカメラの向きを変えれば、3DCGソフト上でカメラの向きを変えるのと同様の効果を得ることができるので、3DCGソフトでの再レンダリングをすること無しに、視点を変えることができます。


■ 1.2 3Dレイヤーとカメラの配置

■3Dレイヤーを使うには、レイヤーを選択して右クリックメニューか、通常のメニューから3Dレイヤーを選択します。

■すると、位置のパラメーターに通常の x,y 成分に加え z 方向成分が現れます。これにより、3次元的なレイヤーの配置をすることができます。 正のz方向が画面奥側に相当します。
また、方向や回転の編集によって、レイヤーの向きを3次元的に回転させることができます。


■新規カメラを導入すると、カメラ設定ダイヤログが現れます。ビューの角度などを調整して、OKボタンを押すと、z=0平面にあるレイヤーがちょうど画面いっぱいに表示される様に調整された位置に、カメラが配置されます。



■たとえば、640x480のコンポジションで、フィルムサイズの計測基準を水平にして、角度を90度にすると、ちょうどカメラの位置とコンポジションの端が垂直二等辺三角形を形作るので、カメラの初期位置は(320, 240, -320)になります。


■カメラを取り囲むように、6枚のキューブマップ画像を使って、6枚の3Dレイヤーを配置すれば、キューブマップの完成です。
コンポジションの左上が原点になっているので、レイヤーの配置はややこしくて面倒かも知れません。この場合はカメラを原点に置いてキューブマップを構築したほうが簡単かもしれません。


■ 1.3 After Effects 上のキューブマップ

■カメラを取り囲む6つのレイヤーを設置しました。カメラを複数配置することもできます。
複数のカメラがある場合は、採用されるカメラは画面下の「カメラ1」となっている部分で選択できます。 この図では、カメラ2をカメラ1の前面に配置して、カメラ2をカメラ1で見ています。

その他、正面から見た画面、左から見た画面なども表示できます。

■これは、カメラを原点に置いて、320x320のキューブマップを配置したパラメーターです。

3Dレイヤーはそのままではz軸方向を向いてしまうので、「方向」パラメーターを使って回転させています。3つの角度はそれぞれx軸、y軸、z軸に沿っての回転角度を表しています。

カメラは、そのままでは元々の基準位置(320, 240, 0)の方向を向くので、原点から見て奥側(0, 0, 160)を向くように設定しています。



■カメラの方向を変えてあたりを見回すサンプルです。格好良いカメラワークを作るなどという用途には使いづらいですが、あと5度上を向いていたほうが良かったなど、ちょっとした修正をする際には使えるでしょう。



■ 1.4 その他 Tips

■キューブマップをサイズぴったりで作ると、わずかに境界が残ります。各面のサイズを僅かに大きくすると良いでしょう。経験上100.2%ぐらいでちょうど境界が消えるようです。

■また、テキストレイヤーも3Dレイヤー化できるので、3D空間上に浮かぶ字幕をつけるといったことも可能です。


■AfterEffectsは、そもそも3DCG用のソフトではないので、3Dとしてできることは限られます。こうしたテクニックは、非常に重いシーンで再度3DCGソフトでレンダリングなんてありえないけれども、ほんのちょっとだけ修正したい時などに、たまに役に立つかもしれません。

■折角なのでこの章で使った十字路のある都市60フレーム分のキューブマップのサンプルを置いておきました。

Town.zip(27.5MB)
Town.dcg(19.6MB) ⇒解凍用ソフト


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