Extra 2 アナグリフで立体視

レイヤーの合成の発展例として、アナグリフ用の立体を作ってみます。

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■ 2.1 アナグリフの基本

■ 2.1.1 立体視の仕組みと RGB 3原色

■ 私たちには目が2つわずかに違う位置についているので、右目と左目でわずかに違う風景を見ています。
その違いを手がかりに脳が(意識しないうちに頑張って画像処理をして!)奥行きの情報を得ています。

■ 立体視の基本は、右目用と左目用に絵を用意することです。しかし、ただ用意しただけでは単にぶれた2つの絵が重なっているだけなので、それぞれどうにかして別々に目に到達させるのが立体投影の仕組みになります。


■ ちなみに上に置いたサンプルは、右目用の絵を左に置いて、左目用の絵を右に置いているので、うまく寄り目で裸眼立体(交差法)できる人は、やかんが手前に見えると思います。

■ 一方、人間の目は3つの光、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの光に別々に反応して、それぞれの組み合わせの程度に応じて全ての色を把握していることが知られています。

■ アナグリフ方式の立体視は、赤い光だけ通すフィルターと青い光だけ通すフィルター(眼鏡)を使うことで、右目と左目に別々の画像を到達させる方法です。



■ 2.1.2 チャンネルミキサーと加算

■ 画像の赤成分、青成分を取り出すにはいくつかの方法が考えられますが、チャンネルミキサーを使ってみます。

[エフェクト]->[色調補正]->[チャンネルミキサー]

■ 0と100はRGBそれぞれについて何パーセント残すかを示しています。

■ その他にも赤成分を緑成分に変換(赤-緑)したりなど、3×3の組み合わせで色を調整することができるので、かなり複雑な色の操作も可能です。

■ これにより、左目用画像の赤成分と、右目用画像の青成分を取り出し重ねます。



■ レイヤーを合成するときには、加算を使います。下のレイヤーは青のみ、上のレイヤーは赤のみの成分をもっているので、足しあわされた画像になります。



■ さて、普通赤青眼鏡という言い方をするので、赤と青のチャンネルを抜き出しましたが、これでは折角RGBの3成分あるのに、緑を使っていません。 良く使われるアナグリフの1つは、赤と(緑+青=シアン)に分離する方法です。この場合もチャンネルミキサーの緑を使うことで簡単に作ることができます。



■ 2.2 アナグリフあれこれ

■ 2.2.1 色の再現性

■ さて、基本はこれでいいのですが、良く考えると赤チャンネルだけ抜き出した画像というのは、当然青い物体は画面上で暗くなります。赤い物体も青(緑)チャンネルでは暗くなります。

■ これが意味することは、原色に近い物体はこのアナグリフの作成法では右目と左目で明るさが合わないということです。


■ 回避する手段としては、あらかじめ白黒のグレースケールに変換をして、それから赤と青に分離するという手があります。

■ 色相/彩度を使ってグレースケールにすることができます。

[エフェクト]->[色調補正]->[色相/彩度]

■ 当然ながら、完全に白黒にしてしまうと、折角の色情報がなくなってしまいます。完全にグレーにするのではなく、ある程度の色情報を残しておいても良いかもしれません。
(但し見やすさと色の再現性はトレードオフの関係になります)

■ この点について解説(+ソフトの公開)をしているページがあったのでリンクしておきます。

→アナグリフの問題


■ 2.2.2 他の組み合わせ

■ RGBの3原色を使って2つに色を分けるのですから、赤と青(+緑)以外の組み合わせも考えられます。

例えば ColorCode-3D では 赤+緑(=黄色) と青の組み合わせで色立体視を行っています。


■ 比較的得意な色、不得意な色や、彩度や色相の調整など、それぞれの方式にノウハウがあると思われます(が、自分はそこまでは詳しく調べていないので)、興味のある人は色々調べてみると面白いかもしれません。

特に3DCGをやる人は、安い場合は数十円の眼鏡だけで立体の形式で作品を公開できるので、悪くないと思います。



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