-Blender ビデオ編集-

1. Stripの配置

Blender にはビデオ編集機能があるのですが、やはり3DCGツールとしてはモデリングなどをメインに行う人が多く、
普段からビデオ編集を良く使うという人は少ないようです。
自分用のメモに近いページを作成しました。

まずは Sequencer上に ストリップ(Strip) の配置をしてみます。

ビデオ編集と言えばアフターエフェクト(以下AE)が思い浮かびます。 Strip は、アフターエフェクトにおけるタイムライン上のレイヤーのようなものです。
タイムラインという用語は、既に3DCGのアニメーションの制御などで使ってしまっているので、Sequencerなどの用語になっているのだと思います。

■基本環境

とりあえず画面上のレイアウトを Video Editing にします。
ワークスペースとしてVE用のレイアウトがメニュー内にデフォルトであるはずなので、追加します
これで、画像や映像ファイルを使ってビデオ編集できるのですが、
別のシーンを素材として使うことができるように、新しくビデオ編集用のシーンを作成します。
区別がしやすいように、ここではVEという名前にしておきます。
Sequencer (AEでいうところのタイムライン) 画面に、ムービーや画像を追加(Add)でストリップの配置ができます。(Shift+A)
ファイルブラウザから、ドラッグ&ドロップでも配置をすることができます。
連番画像は、複数個選択で読み込みます。
他のビデオ編集ソフトでは連番の先頭ファイルを選ぶ、というアプリが多いので、意外に戸惑うので注意です。
Sequencer 上にストリップが追加されます。
別のソフトでの言い回しでいけば、タイムラインの上に素材を配置したようなものです。

Strip の移動は 3DCG のシーン編集中での操作とできるだけ同じようになるように設計されています。
移動中は、ガイドとしてフレームの数字も表示されます。
先頭と最後の三角形をつかんでばらばらに動かすことができます。

ストリップの長さとムービーの長さが違うようにするときは、
AEなどとは少し違う独特の操作感なのでちょっと注意が必要です。

ムービーの使用部分をずらすのは「ストリップ内容の移動」(Slip Strip contnts)になります。(ショートカット「S」)
この時、ストリップに配置できるのは既にある画像や動画のファイルだけではありません。
別のシーンをストリップとして配置することができます。

(2.79では、同じシーンの3DCG部分も素材として扱うことができました。
どうもユーザーの混乱の元だったようで、「違うシーン」だけが扱えるようになったようです。
そのため、3DCG部分を編集するには、最低でも「3DCG本体のシーン」「ビデオ編集用のシーン」の2シーンが必要になります)
例外として、Sound Strip だけがあり、映像に関係する Strip が無い場合には、シーンの3DCG部分がそのままレンダリングされます。
そのため、音だけをつける場合には1つのシーンだけで編集が可能です。
シーンをストリップにした時のプレビュー画面の品質は、プレビュー右側のパネルから指定することが出ます。
レンダー(Rendered)を指定すると、画面はもちろんきれいですが、レンダリング表示に若干の時間がかかり、レスポンスは悪くなります。
レスポンスの向上のために、キャッシュで画像データがメモリに保存されているのですが、実装が完璧ではないようです(2.82時点)。
たまに更新すべき画像が古いままになったりして表示が変になることがあります。

そのような場合になったら、すべてを更新(Refresh All) のショートカット Ctrl+R を使います。


■Stripの合成

Stripは追加で配置することができます。
アルファチャンネル付の連番画像などを追加で重ねたとします。
Sequencer上で上に乗せたほうが上に合成されて表示されます。
同じように、背景が透明に設定したシーンを別のストリップの上に重ねても、意外にもそのままでは透過処理がされずに透けません。
透明部分は単に透明に差し替えられます。
シーンのストリップの場合は、デフォルトのブレンド(Blend)設定が クロス(Cross) になっていて、透過処理をしないで単純な差し替えの設定になっています。
設定を変更 (Alpha Over)にすることで、透明部分を透明として扱って合成することになります。

面白いのは Alpha Under で Strip が上に積み重なるのではなく、下に差し込まれたかのように振舞います。
Strip の順番を入れ替えればよい気もしますが、Effect Strip をかける順番の関係で順番が変えられない時などに重宝することがあります。
合成がうまくできた状態でアニメーションレンダリングをすると、2つの動画を合成したような映像を作ることができます。
2.8以降のカラーマネージメントは、デフォルトでは Filmic です。
既にFilmicな色合い、つまり渋めの色合いで作成された素材を編集してさらにFilmicな色に調整すると、ますます渋い色合いになってしまいます。

ビデオ編集の際にはStandardにしておくのを忘れないようにしましょう。

■Strip の基本操作

ストリップは、デフォルト状態では、解像度や縦横比にかかわらずに、シーンの解像度に合わせて表示されます。
平行移動や透明度の操作など一部の操作は、ストリップごとの固有のパラメータを変更することで行えます。

もっと詳細な編集には、後述のEffect Strip 機能を使います。

円を描いた1:1の縦横比の画像を配置しましたが、デフォルト状態ではシーンの大きさに合わせて表示されています。
ストリップの基本的なパラメーターは、右側のパネルで設定ができます。
このあたりの操作感も、3DCG部分とほぼ似た感じになるようになっています。
レイヤーの平行移動は、Transform 内の オフセット(Image Offset)を設定することで行えます。
面白いことに、Image Offset を有効にすると、シーンの大きさに強制的にリサイズされる効果が off になります。

Strip のサイズの変更は、基本操作には含まれていないので、大きさも調整するには Effect Strip が必要になります。
意外に面白いのが、簡単な時間制御が基本機能に含まれていることです。
Backwards によって逆再生がおこなえます。 また、ストロボ(Strobe)によって映像の再生の滑らかさを落とすことができます。

その他、Flip (左右、上下反転)や、色合いの調整などが基本操作に含まれています。

後述の Effect Strip を使うと、さらに詳細な効果をつけることができます。
ただし、今のところ操作性や機能にはまだ限界はあります。

2Dの画像や映像を様々に動かしながら配置してアニメーションさせる、というような操作にはBlenderのビデオ編集は向いていません。
そのような際には、3DCG空間上で板ポリゴンなどの2Dの部品として使って、3DCGとしてシーンを作成するのがお勧めです。

出来上がった複数のシーンの編集や、合成、そのほか単純な字幕やBGMを付け足す、といった使い方で blender のビデオ編集機能が活かせるかと思います。

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