Pov-Ray (Install と OS依存性)


1. Pov-Ray for Windows


■ 2010年秋の時点の最新の安定バージョンは 3.6.2 です。

■ Windows 用の Pov-Rayは 公式ページhttp://www.povray.org/ダウンロードページ からインストーラ povwin362-32bit.msi を入手して実行し、インストールします。

■ Pov-Ray for Windows を実行すると、最初にテストとしてサンプルのビスケットがレンダリングされると思います。無事に表示されれば成功です。

■ Windows 版は、テキストエディターが組み込まれた形になっているのが特徴です。Pov-Rayは(何らかの外部ツールを導入しない限り)テキストファイルを元に画像を作っていくので、エディターがついているのは非常に便利といえるでしょう。

■ 数少ない欠点としては、自分の知る限り何が何でもGUIが立ち上がる、たとえバッチ処理で裏で仕事をして欲しくてもGUIが現れることが欠点かもしれません。(無しで立ち上がるオプションがあれば良いのですが…)



1.1 Pov-Ray for Windows Vista

■ Vista 環境下でもほぼ問題なく稼動します。最新(3.6.2)では、連番画像のレンダリングができないという不具合は解消されているようです。


1.2. cygwin から Pov-Ray for Windowsを使う

■ コマンドラインから実行ファイルを普通に入力すればいいのですが、普通はC:/Program\ Files/ 以下随分深い場所ににインストールされるので入力しにくいと思います。環境変数でパスを定義しておくか

 $ ln -s C:/Program\ Files/POV-Ray\ For\ Windows\ v3.6/bin/pvengine.exe /usr/local/bin/povray 

等とリンクコマンド(windowsのショートカットでも可)を使って、UNIX/LINUX版と同様に povray コマンドで実行できるようにしておくのが便利でしょう。

■ /usr/local/bin は cygwin 上でコマンドを探しに行くパスの一つです。また、フォルダ名に空白文字がある場合には、コマンドの区切りと区別するために「\+空白文字」を使います。ちなみにwindows版のpovrayの実行ファイルの本体は povray という名前ではなく、 pvengine.exe です。


2. Pov-Ray for Linux


■ Linux 版はダウンロードページからダウンロードもできます。インストール手順等も説明文書が載っています。

■ Pov-Rayは定番のツールなので、パッケージ管理ツールのついているLinuxであれば、自分でインストールするよりもパッケージ管理ツールを使ったほうがいいでしょう。

apt-get でパッケージを管理するタイプのディストリビューション(debian や ubuntu)なら

$ apt-get install povray

を管理者権限で実行すれば、自動でインストールされます。

■ 例えば サンプルの biscuit.pov を用意して

$ povray biscuit.pov +p

でサンプルのレンダリングが実行されます。Linux版は専用のウィンドウが無いので、レンダリングが終わるとファイルに保存してそのまま画面から消えてしまうので、 +p オプションで一時停止させておきます。



3. Pov-Ray for Windows on Linux/UNIX


■ Linuxでは、あくまでPov-Rayはレンダリングを担当して、編集は他のソフトの役目だと割り切っているので、スクリプト処理のときなどは便利なのですが、トライアンドエラーをするには向かないともいえます。

■ Linux上でwindows用の実行ファイルを動かすことのできる Wine を導入すると、Windows版の Pov-Ray を Linux上で動かすこともできます。

■ Ubuntu Linux + Wine (1.1.8) + Pov-Ray for Windows

ほぼWindows版と変わりなく使えるのですが、確認した限り

1. Helpが使えない
2. 他のエディターで編集中のファイルをいじると固まってしまう
3. フォントを選ばないとカーソルの位置がずれる
4. エンコードの関係で日本語の互換性が怪しい
5. 時々ボタンが表示されない(最小化してから開くと見える)

という不具合がありました。あと少しで完全移植になるという状態でしょうか。



4. I/O restriction


■ インストールしたばかりのPov-Rayは、安全のためにスクリプトによるファイルの読み書きをカレントディレクトリ(例えばマイドキュメントなど)以外では行えない設定になっています。(I/O restriction = 読み書きの制限)
これは、スクリプトでファイルの読み書きもできるために、信頼できないサイトで拾ったようなスクリプトが悪さをできないようにという措置です。

■ しかし、動画作りにはスクリプト作成が不可欠なので、これではそのままではまともに画像の出力もできません。

■ 自分で入力したスクリプトなどは安全なので、メニューのオプションから I/O restrictions は切っておきます。


■ Linux 版では、GUIによる設定がないので、設定ファイルを手動で書き換えます。
/etc/povray/3.6/povray.conf
が設定ファイルなので、(システム領域に書き込み制限があれば、スーパーユーザー権限で)ファイルを書き換えます。

■ [File I/O Security] という項目があるので、restricted の行にセミコロンをつけてコメント文にして、none の行からセミコロンをとります。
これで起動すれば、ファイルの読み書きを自由に行えるようになります。

PovRayを使って悪意のあるコードを作る人などほとんどいないと思いますが、怪しいコードの実行などは気をつけて…


5. Pov-Ray3.7



■ Pov-Ray は現在 バージョン3.7が開発中であり、2013年秋時点で 3.7 RC7が最新の評価版です。
3.6との最も大きな違いは、マルチスレッド対応になっている点です。まだ RC ですが、3.7を利用する方が良いと考えられます。
Windows版は、単にインストーラからインストールすれば3.7版を導入できます。

■ Linux版は実行ファイルの配布をしていないので、自分でソースファイルをダウンロードしてコンパイルする必要があり、やや敷居は高いです。
コンパイルの際には、予めReadMeファイルなどを読んで必要なライブラリ群の導入をする必要があります。
Ubuntuであれば、Synaptic上から必要なライブラリを全て選択することができるので、ライブラリそのものを探してコンパイルまでする必要はありません。
主だったライブラリには以下のようなものがあります。(バージョンの数値は新しいものを選んでください)
libboost1.40-dev 
libboost-thread1.40-dev
libsdl1.20-dev
openexr-dev
■ その他、libpng12-dev などの画像用のライブラリが必要です。
利用するための通常のライブラリではなく、それを用いたソフトをコンパイルするための、開発用の -dev 付のライブラリである点に注意しましょう。
必要なライブラリの導入後は、ソースのあるディレクトリ上で
$ ./configure COMPILED\_BY=yourname 
$ make [-j n] 
$ [sudo] make install
でコンパイルとインストールが行えます。(-j オプションは、コンパイルに使うコア数の指定です)

サンプルファイル

■ Pov-Ray for Windows でインストールされたフォルダの中

\POV-Ray for Windows v3.6\scenes\

には biscuit.pov 以外にもかなりの数のサンプルが入っています。以下の二つのようなものも見つけました。
サンプルを見て学習するのにちょうど良いかもしれません。



■ 最後に日本語でPovRayの解説をしているページを2つリンクしておきます。

POVRAY station
POV-Ray First
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