-Blenderで剛体シミュレーションをするときの手順と注意点-


8. 崩壊させよう(その1)

■ たくさんのオブジェクトとして配置する/分割する

建造物のように、沢山のパーツからなる形状を崩壊させるには、たくさんのパーツを配置しなければなりません。
モデリング後(規則正しいブロックなどは Array などで配置後)にばらばらに分離する、といった方法が考えられます。

ブロック塀のような配置であれば、Array モディファイアを使って、横方向に配置、縦方向にずらして配置、さらにそれを繰り返し配置、といった3段階で作成することができます。
最後に、モディファイアを Apply することで、ブロック塀全体を表現する「1つの」モデルが出来上がります。
一つのモデルを、たくさんのモデルに分離します。ショートカット "P" (seParate 分離) の By loose parts (接触していないパーツを分離する) で、すべてのブロックをばらばらのオブジェクトに分離することができます。
ばらばらのオブジェクトとして分離されました。

これらを剛体として設定しますが、その前に。
この状態では、各オブジェクトの原点は、元になったオブジェクトの位置のままにあります。それぞれのオブジェクトの重心に原点がないと、剛体の計算がおかしくなってしまうので、まずはそれを修正します。
Set Origin, Origin to Geometry (原点を形状に合わせる)Shift Ctrl Alt C を使います。(四角なのでこれで良いのですが、正確には Center of Mass (重心)に合わせるようにします。)
全てのオブジェクトの原点が、あるべき場所に設定されました。

■ 剛体設定を全部に適用する

一つのオブジェクトを、剛体(Active)にします。
そのまま落下してしまわないように、床を置いてこちらも剛体(Passive)としてブロックを受け止めるようにします。
全てのオブジェクトを選択状態にして、最後にこのオブジェクトを選択してアクティブ状態にします。3D画面左側のツール内の物理設定(Physic)内に Copy From Active (アクティブからコピー)という機能があるので、これを使って全オブジェクトに剛体設定をコピーします。
ところで、3D画面が混み合っていると、選択したいオブジェクトだけを範囲選択で選ぶのが難しくなったりします。意外に盲点なのがアウトライナー上での範囲選択方法です。 アウトライナー上で B + マウス操作で範囲選択をして…
その状態で右クリックメニューから、選択(Select)などの操作を選びます。(アウトライナー内での選択と、オブジェクトとしての選択状態というのが別物ということです。意外に気が付かなくて、なんで選択状態にならないのかと戸惑うことが…!)
全体に剛体設定が適用され、アニメーションさせれば、重力に従って動きます。

ただし、このままでは、最初に絶妙な配置をしておかないと動き始めに少し落下して不自然になってしまします。
かといって、あまり最初にぎゅうぎゅうに詰めすぎると、めりこんだ状態から計算が始まってしまって、ブロックたちがはじけ飛んでしまいます。

この動画の最後の状態がスタート状態になっていてほしいところです。(零れ落ちた右上のパーツは削除するとして…)
最終状態になって、全体の動きが落ち着いたところで、Apply Transformation を適応すると、その状態に各オブジェクトの位置が設定されます。(ツールのボタン以外に、Ctrl A でも Apply メニューが出てくるので、Visual Transform を選ぶことで同じことができます。)

■ 動きを駆動するためのオブジェクトを使って制御

あとは、煮るなり焼くなり好きにすればよいのですが、何か刺激を与えなければ何も起こりません。
物をぶつけるなどするために、もう一つオブジェクトを作って剛体を設定します。

Animated の設定をオンにしておくと、通常のキーフレームで設定したアニメーションに従って動く剛体になります。
(重力やほかの物体からの反作用などは受け付けなくなります)
直接ものをぶつけても良いですし、不可視状態にしておけば、後からエフェクトを付けたり、いろいろな応用が可能でしょう。

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